人身事故と物損事故、各々の処分の違いについて

交通事故関連

一般に交通事故は「人身事故」と「物損事故(物件事故)」の二つのタイプに分かれます。

 

人身事故

→怪我や死亡など、人的損害が生じた交通事故を言い、加害者には三つの責任「刑事処分」・「民事処分」・「行政処分」が伴います。尚、警察「実況見分調書」を現場で作成します。

 

「刑事処分」

…交通事故の内容に応じて、道路交通法違反や自動車運転致死傷行為刑罰法違反など刑事事件として立件され、過失運転致死傷罪や危険運転致死傷罪、殺人罪などに問われます。その後、罪の重さに応じて、罰金刑や禁固刑、懲役刑といった刑事罰が科せられます。

 

<刑事処分における罰則の種類>

◦罰金刑    加害者から強制的に金銭を取り立てる刑罰

       (人身事故の刑罰処分では、一番軽い刑罰)

◦禁固刑    加害者を施設に拘置する刑罰

◦懲役刑    加害者を施設に拘置し、施設内で所定の作業が科せられる刑罰

 

※刑事罰は事故の経緯や被害者の負傷具合により変わってきます。

<人身事故における罰金の目安>

◦「重傷事故、全治3ヶ月以上、後遺障害あり

 →30万円~50万円

◦「重傷事故、全治30日以上、3ヶ月未満

 →30万円~50万円

◦「軽傷事故、全治15日以上30日未満

 →15万円~30万円

◦「軽傷事故、全治15日未満建造物損傷事故等

 →12万円~20万円

 

※罰金額は、「もらい事故のように、加害者の一方的な不注意によって発生した場合」と「加害者だけでなく被害者にも一定の過失があった場合」では、同じような事故でもそれぞれ罰金額が異なる場合があります。

 

「民事処分」

…民法や自動車損害賠償保障法に基づいて、損害賠償金の支払い義務が生じます。損害賠償金には、交通事故による怪我の治療費や壊れた物の修理費、慰謝料などがあります。

 

「行政処分」

…道路交通法に基づき、交通事故の内容に応じて運転免許証に違反点数が加算されます。その後累積した違反点数に応じて、公安委員会より運転免許証の取り消し処分や停止処分などを受けることになります。尚、違反点数には基礎点数(一般違反行為と特定違反行為)と付加点数の二種類があり、基礎点数は安全運転義務違反や速度超過、酒気帯び運転等、違反ごとに点数が定められています。一方、付加点数は相手方(被害者)の怪我の程度や過失割合によって決定されます。

人身事故を起こした場合に科せられる違反点数については、交通事故が発生した日から起算して、過去3年分の違反点数が計算されます。

 

物損事故

→怪我や死亡など、人的損害が全く出なかった交通事故(車やガードレールなどの物に対してのみ生じた事故)。原則として民事責任のみで、警察は簡易的な図面(物損事故報告書)のみを作成します。

道路交通法の規定で警察に届け出る必要はありますが、免許の違反点数への加点や反則金などの処分は科せられません。尚、たとえ物損事故であっても、当て逃げをした場合には、処分や罰則、反則金の対象となってしまいます。

 

※民事責任とは?

→壊れてしまった物の修理代や時価相当額を賠償金として支払うこと。

 

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